top of page

DIGIAL EDUCATION

活版印刷以来の大変革到来

(上記、動画より文字起こし)

ハーバードの教授陣が、教育界が今、何百年に一度、もう何千年に一度の大変革を迎えているんじゃないかといってるんですね。活版印刷術以来の大変革だと・・・。ITの変革が黒船であることは言うまでもありません。要はインターネットや、スマートフォン、IOTの技術によって、これまでにない教育の提供が可能になってきた。2012年、ハーバードとMITは、edX(エデックス)というものを作りました。これは両校の教授の授業をインターネット上に公開して、全世界の人に見てもらおうという取り組みなんですね。これをやったところ短期間で何十万人の人が視聴した。で、これ実際にやっていらっしゃる先生方は僕の知り合いなんですけど、学内でも賛否両論がまきおこっているそうです。デジタルで本当に質の高い教育ができるのかという・・・・。でも実際にテストしたところ、このedXとリアルの教育では、edXで受講した学生の方が成績が良かったという結果も出た。だって、ITを使えば、何度でも繰り返し見える、弱いところを繰り返すといったことも可能ですからね。そんなことはこの数千年の教育で初めてのことなんです。さらに動画を使えば、大規模に世界数億人を相手の教育することも可能になってきた。教室の中だけで教育を考える時代ではないということです。活版印刷以来の大変革というのは、あながち大げさな言葉ではないということを多くの人が感じ始めているわけです。

ハーバード時代

MITと教育手法を共同研究

リアル✕デジタルの教育手法を研究

さて、しかしながらなんですが、実は私は、リアルの教育が持つパワーを知っています。要するにデジタルがいくら進化してもリアルのライブの教育にしか出来ないこともやっぱりあるんです。例えば今私が話をしている話し方(動画より)、トーン、イントネーション、表情、こういうものが教育上、ものすごい影響をもっているということを僕はしっています。バーチャルリアリティの技術がもたらす可能性にワクワクしていますが、同時にフェイストゥーフェイス、リアルな場を共有しあうことの重要性は無くならないと思っています。ITが進めば進むほど、今日、この時間に地球上のある空間で、場を共有するということにはとても重要な意味がでてくるのです。ハーバード大学は、edXというデジタル教育の可能性を広げながら、実はリアルなキャンパス空間をここから数年間で倍増させていく計画なんです。大学生の4年間、ボストンのあの空間で切磋琢磨しあったという経験、ヒューマンネットワークには、デジタルでは成し得ない成果を与えることができるのです。だから重要なことは、リアルとデジタルの双方を研究することなのです。両方の可能性を知り尽くしたものが、次世代の教育を開発することができる。教育者だけでもだめ、IT企業だけでもだめ。双方を知り尽くした人、あるいは両者が手を取り合って新しい領域の教育を開発していくことはとても重要だと思うのです

e-Learning大賞受賞

それでは、実際にデジタルの領域で我々がどういう成果をあげてきたのかをみてみましょう。ある鉄道大手さんから依頼が来ました。現場作業員向けのe-learningの仕組みを作りたいと・・・。鉄道は安全が第一です。しかし多くの事故はヒューマンエラー(人間による判断ミスなどがもたらす事故)によって起こっている。ただそれに関わっている人の数は莫大。ですからフェイストゥーフェイスの研修では難しい。そこで効果的なe-learning教育の仕組みを作りたいと・・・。そこで僕が監修役になってe-learningの基本的な設計図を作りました。現場の作業員の方はいわゆる研修に慣れていません。文字で伝えても伝わらない。だから動画やCGを駆使して、分かりやすいものを作っていきました。かつ見ているだけでは、なかなか頭には入りません。ここでアクティブラーニングの手法が取り入れられます。映像なんですが、インタラクティブ(=双方向)な作りにしたんですね。映像を見ながら、ペアやグループでディスカッションしながら進められるものにしたんです。こうした教材をそれまでにもいっぱい作っていましたから、どのタイミングでどういう質問を投げかけるとよいか、手に取るようにわかっています。このアクティブラーニングスタイルのe-learningによって、これまでにない「能動性」の喚起がなされ、高い学習効果を導くことができました。実際、現場でも大好評だったんですね。結果的にこの取り組みは高い評価を受け、その年のe-learning大賞・経済大臣賞というのを取ったんですね。

 

●関連情報
http://www.jreast.co.jp/press/2011/20110705.pdf

天才プログラマー、中島聡氏と

学習アプリ共同開発

そうこうするうちに、スマートフォン、アプリというものが世の中に出てきました。スマフォがあれば、いろんな新しい教育が可能になります。例えばスマフォを持たせて、隙間学習というのが可能になります。これまでの教育は教室の中だけで指導し、あとは自分でがんばってねと、個別学習に関しては本人の努力にまかせるしかなかった。しかしスマフォを使えば、学習者を24時間、どこにいても追いかけることができる。もちろん学習者をしばりつけようということではなく、1日の中には隙間時間がいっぱいある。その時間を使うことができれば、継続的な反復学習、モチベーションの維持さえも可能になるわけです。こうした最新ツールを使い、これまでにない教育アプリを作ってみたいと考えました。そんな時、中島聡さんに知り合いました。中島さんは知る人ぞ知る伝説のプログラマーです。あのマイクロソフトで、Windows95とを作る立役者となった日本人の方なんですね。そう、Windows95って日本人がチーフアーキテクトになって作り上げられたものなんですよ。中島さんは現在シアトル在住なんですが、彼が教育に興味を持っていらっしゃるということをお聞きして、直接僕からメッセージを送らせていた。教育をこう変えたい、でこんなもの作りたいんです、一緒に作れませんかって・・・。そうするとすぐに返事をくださって快く引き受けてくださった。そこからシアトルと東京をつないでアプリ作りが始まったのです。   

neu.Tutor

そして出来上がったのが、「neu.Tutor(ノイ・チューター)というアプリなんですね。iPhoneやiPadで動くアプリなんですが、neu .Tutorとは「新しい家庭教師(ドイツ語)」という意味で、記憶支援ツールなんです。単語とか用語とか覚えたいものをこのアプリに放り込む。そうするとゲーム感覚で驚くほど短期間で効率良く覚えられてしまう。実際、ある学生さんがこれを使って1月で2千単語覚えたという報告もあがっています。えー、うそでしょ?って思わないでください(笑)。記憶支援というのは、実は僕がリアルの教育でずっと研究していたことなんですね。もし皆さんが僕に時間を下さったら、2,3日ぐらいで、一日で500単語ぐらい覚えさせる記憶力を養成する自信があります(笑)。本当ですよ!記憶には原理がある。それをきちんと理解し、トレーニングすると、だれだって効果的な学習ができるんです。でも僕から習うと高くついてしまいます(笑)。何より効率が悪い。一回で教えられる人の数は限られていますからね。だったら僕が長年研究してきたアルゴリズムを取り込んだ記憶支援ツールを作ってしまおうと・・・。アプリだったら、一度作ればもう何十万の人に対して、その方法論を使って頂くことが出来るわけです。中島さんは、この辺の意味性をすぐに理解してくださいました。そしてなんとこのアプリ、無料で公開することにしました。それで世界の教育が変わればいいだろうと・・・笑。インターネット上で「new tutor」を探してみてください。そのサイトに動画がありますから、まずそちらをしっかり見てくださいね。兄弟シリーズがあり、TOEIC対策(一部有料)、日本学習(無料)などのバーションもあります。このアプリは、その年のe-learning大賞で、「スマート学習部門賞」というのを頂きました。

e-Learningの次に来る、s-Learning

これまでお話ししてきたように、我々は新しいツールを使って新しい教育を生み出すことに強い興味を持っています。アクティブラーニング社が主体者となって作ることもありますし、どこかの企業さんの依頼でお手伝いをすることもあります。最近では中島さんのように志の高い人達と手を組んで一緒に作らせて頂くこともあります。今この時点では、複数の会社さんと世界的に注目を集めるような面白いものを開発中です。是非、その発表を楽しみにして頂きたいと思います。僕そんな中で、いま僕が一番興味も持っているのは、e-learningの次にくる、e-learningです。これは僕の造語なんですけども、e-learningというのは基本的に、紙にあった情報をデジタル化して使いやすくした、その程度のものがほとんどです。別にそれをもって学習効果が圧倒的にあがったというほどのものではない。いつでもどこでも学習ができるといった遠隔効果はあるものの、学習者の学習に対する負荷を取り除くほどにはなんっていない。僕が考えているs-learningとは、スマートラーニングの略で、勉強しようと思っていないのに、ただそれをやっているだけで、ふと気付くとあれ、入ってた、というものを作りたいのです。色んな研究の成果から、情報の提示の仕方に工夫をすると、覚えさせようとしなくても、確実に頭の中に記憶させることが可能になります。例えばテレビのコマーシャルなんかもそのことを理解しています。CMで出てくるフレーズは、覚えようとしないのについ記憶されていきますよね。「さーらりとした・・・」と言えば、日本人の多くは「梅酒」と答えてしまうわけです。「印象」を意図的に作り出し、効果的に「回数」を繰り返せば学習を成立させることができるのです。

Zero Effort Learning System

全く努力をしない学習の成立・新しい教育を作ろう

勉強と言えば、何かしんどいイメージがありますよね。しかし教育の原理と最新のITツールを融合させれれば、楽しく、負荷なく学習を成立させることができると思うのです。これを僕は、「Z ELS(=Zero Effort Learning System) と呼んでいます。実は起業した時の目標は、いつかZELSを作り上げてみたいということでした。ハーバード大学を出る時、それを決意したことを今も、しっかりと記憶しています。

しかし、今、その実現が夢物語ではなくなってきました。現在進行形で関わっている複数のプロジェクトには、実はもうZELS的要素が次々に入りつつあります。こうした教育の新しいステージ、教育の再発明に私達は強い関心を持っています。皆様がもっている専門性、国や業界を超えた英知の融合こそが、人類に新しい可能性をもたらしてくれると考えています。

我々といっしょに組んでみたいという企業、我々といっしょに働いてみたいという方、是非、お問い合わせください。

いっしょに世界を変えていきましょう。

 

 

羽根拓也 (株式会社アクティブラーニング代表)

 

注)上記、文章は動画の会話から書き起こし、さらに一部、加筆されています。

教育は、今、こういうすごく面白い時期に入ってている。本当にいいものを作れれば、ここ数百年、いや数千年かわりばえのしなかった世界の教育を変えられるかもしれないんですね。私自身、実はハーバード大学で教えていたときに、そういう新しい教育の方法を研究する研究会に入っていたんですね。MITは、ハーバード大学のお隣にある大学。ここは理系の大学で、新しい教育をやろうということを、やりたがる先生がいっぱいいらっしゃるとこなんです(笑)。ハーバードの先生とMITの先生でチームを作って、そういう研究会を作ったんです。例えば、当時ではまだ珍しかったプロジェクターとかインターネットを使って何ができるかを研究しましょうと・・・。当時ちょうどインターネットが始まってきた時期だったのと、電気製品がアナログからデジタルに変わるところだった。MITで、ウエブとプロジェクターを使った授業を見せてもらって、すごいと思ったんです。僕はそれまで幼稚園の先生みたい感じで、工作をして教材を作っていた。コンピューターで作れば一発だなって・・・。プロジェクターを使えば教師が表現するよりすごいことを見せられる。ウエブを使ったら世界中と交流だってさせられる。これはすごいなーって思って、それ以来そういう新しいツールが出てきたら、出来るだけ使ってみようという風に考えたんですね。アクティブラーニングがデジタルの教育に強いのは、そうした洗礼をアメリカで受けたからなんです。

bottom of page