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Takuya Hane

マレーシアの工科大で基調講演 〜若いうちに外国人と協業体験を積む〜


■マレーシアでもアクティブラーニング

マレーシア、クアラルンプール郊外にある「Universiti Teknologi MARA (UiTM)、通称、マラ大学、で基調講演を行った。

この基調講演、 ISTS 2015=「International Symposium on Technology for Sustainability 2015」のために行われたもの。

大雑把にその意義を説明すると、「世界において持続性ってとっても重要になりつつあるよね、そこでテクノロジーは重要な役割をはたす、だから、そのあたりを国際的に話し合う場をもちましょう。」といったプロジェクト。もともとは理系学生のための学会発表のような形で始まった。

しかし、このプロジェクトの意義を高めるために、多国籍の学生で何か、短期間の間に協業、いっしょにものを作る体験をさせた方がいいんじゃないかという発想から、近年、プログラムの大改訂が行われた。 そこにアクティブラーニングの要素を入れよう、しかも当然英語でやらなければならないということで、僕に白羽の矢がたったのだ。

実はこのプロジェクトの主催者の一つは、日本の高等専門学校、通称「高専」だ。 ----------------------------- 解説)高等専門学校 高専は、全都道府県に1校ずつある理系の専門高校&大学なのだが、ここから多くの優秀なエンジニアが育っている。高専が技術立国日本の屋台骨だといっても言い過ぎではない。

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高専は、もともと日本の教育機関の中でもとても面白い場なのだが、今回もまた高専がやってくれたという感じだった。 この高専の学生を、全国各校から1名ずつ校長推薦を受け、全員をここマレーシアに連れてくるという壮大なプロジェクト。そう日本の理系のトップ学生を集め、同じくアジア中から集まってもらった理系学生と「グローバルな知的交配力」を育成しようというスーパー企画なのだ。

チームは、各国学生が混ざるように作られ、その多国籍メンバーで地域を訪問する。その町長さんやコミュニティの代表から話しをきき、実際にフィールド視察を行って、なんらかの問題解決の創案につとめる。

ただ理系の学生だから、手を動かすことができる。アイデアだけで終わらせるのではなく、やろうと思えば実際にプロトタイプを作ることだってできる。

そして最終日の発表会で、実際に町長さんなんかにも来てもらって、みんなで誰が良かったかを決めるというものなのだ。

僕の基調講演のテーマは、イノベーションの創出。 世界的に、あらゆる産業に突如、黒船がやってきて、既存産業を破壊してしまう。ガラゲーからスマフォへのシフト、肉体労働からロボット化へのシフトなど、世界中の様々な産業界の大変革がここ数年で起きているということを事例をあげてみせた。実際に、日本ではこういう新しいものを「KUROFUNE」と呼んでおり、あらゆる産業が大なり小なり、様々な黒船に巻き込まれようとしていると伝えた。

ロボット化が進んで行く中、若い人はどういう準備をしていくべきなのかを皆で話し合った。

結論は「人間らしい仕事」をするということ。つまり、ロボットにはできない、人間にしかできない仕事ができる資質を伸ばすべきであり、その中の一つに、創造性、つまり今までになかったものを作る頭脳を鍛える必要があるという結論を導き出した。 そこで終わってしまえば、ただの講義。ここからがアクティブラーニングだ。

創造性が重要であるかは誰もが知っている。それでは、どうすれば創造的なアイデアを出せるようになるのか? ここから、参加型の演習が始まる。アイデアを出し、そのアイデアが実はただの「検索」であり、「創造」をしていないということを解説する。

そして「創造」の方法を教え、グループ内で、新しいアイデアを出すことに努めてもらった。結果、さっきより少しずつ「独自」のアイデアがだせるようになる。これが、我々が目指す本当の「体験型授業」ということになる。

この体験を繰り返していけば、次第にアイデアもだせるようになってくる。 日本人はもちろん、マレーシア人らも皆、講演終了後は満足をしてくれていたようだった。

外国人と深い話をしたり、いっしょに手を使って協業をしたり・・・。そういう体験を、若いうちに積んでおくことはとってもいいことだと思う。

ここ、マレーシアに来て、面白い話を聞いた。

マレーシアは、中華系、マレー系、インド系の人種が混在する国家。人種間の争いは、比較的少ない方だが、お互いに他の人種のことを悪く言う傾向がある。相手がいないところでは、他の人種の悪口を平気で言い合っているという。

ただ、小学校ぐらいの時に、インターナショナルスクールなどにいって、別人種といっしょに学んだ学生はその傾向が少ない。大人になってからもいっしょに協業もすることができる。

一方で、小学校の時に、マレー系、中華系と、一つの人種だけが通う学校で学んだ学生は、大きくなってからも、相手のことをボロクソに言う傾向が強いという。つまり、接点がなければ「異種」を恐れるのだ。

今後、日本人も外国人と仕事をすることはもっと当たり前になる。そんな時、今回のワークショップに参加してくれた学生らが、自分とは異なったDNA(生物学的のみならず、知識、体験的にも)を持つ人と、どうすれば気持ちを分かち合え、どうすればお互いの価値を引き出し会えるのかを学んでくれるとしたら、こんな嬉しいことはない。

終了後、もっかい舞台に上がってきてくれと言われた。

何だろうと思ったら、現地の教員からお土産品の贈呈だった。これ、アジアで講演をするとよくある!

この大学の写真が入ったガラス状の置物を頂いた。

ちょっとださいけど、ちょっとかわいらしい・・・。

マレーシアっぽくてとてもいいと思った。

さてさて、何に使おうか・・・笑。

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